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転生(てんしょう)
ブロンズ 大正9年 高 238.0cm
筋骨たくましくおそろしい形相(ぎょうそう)をした鬼が、口からさかさまに人間を吐き出している。「生ぬるい人間を喰った鬼が、あまりのまずさに吐き出してしまう」という田中が幼少の頃に聞かされた故郷に伝わる話を思い出して作られたものだという。
田中は大正3年から三年間にわたり日本美術院の研究所で、当時の木彫家としては珍しく裸体のモデルを使用して塑造研究に打ち込んでいる。本作は空想上の鬼がテーマになっているため筋肉の表現に誇張があるものの、この研究時代に培(つちか)われた描写力が存分に発揮されており、田中の代表作のひとつに挙げられている。
本作はブロンズ作品であるが、この原型となった木彫が東京芸術大学に所蔵されている。