○小平市中高層建築物の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例
令和2年
条例第18号
(目的)
第1条 この条例は、中高層建築物の建築に係る計画の事前公開並びに紛争のあっせん及び調停に関し必要な事項を定めることにより、良好な近隣関係を保持し、もって地域における健全な生活環境の維持及び向上に資することを目的とする。
(1) 中高層建築物 高さが10メートルを超える建築物(都市計画法(昭和43年法律第100号)第8条第1項第1号に掲げる第一種低層住居専用地域及び第二種低層住居専用地域にあっては、軒の高さが7メートルを超える建築物又は地階を除く階数が3以上の建築物)をいう。
(2) 紛争 中高層建築物の建築に伴って生ずる日照、通風及び採光の阻害、風害、電波障害等並びに工事中の騒音、振動等の周辺の生活環境に及ぼす影響に関する近隣関係住民及び周辺関係住民(以下「関係住民等」という。)と建築主との間の紛争をいう。
(3) 建築主 中高層建築物に関する工事の請負契約の注文者又は請負契約によらないで自らその工事をする者をいう。
ア 中高層建築物の敷地境界線からその高さの2倍の水平距離の範囲内に居住する者
イ 中高層建築物の敷地境界線からその高さと等しい水平距離の範囲内にある土地又は建築物に関して権利を有する者
ア 前号に掲げる者を除き、中高層建築物の敷地境界線からその高さの2倍の水平距離の範囲内にある土地又は建築物に関して権利を有する者
(6) 設計者等 中高層建築物に関する設計、工事又は工事監理の請負人をいう。
(市長の責務)
第3条 市長は、紛争を未然に防止するよう努めるとともに、紛争が生じたときは、迅速かつ適正に調整するよう努めなければならない。
(当事者の責務)
第4条 建築主は、紛争を未然に防止するため、中高層建築物の建築を計画するに当たっては、周辺の生活環境に及ぼす影響に十分配慮するとともに、良好な近隣関係を損なわないよう努めなければならない。
2 建築主及び関係住民等(以下「当事者」という。)は、紛争が生じたときは、相互の立場を尊重し、互譲の精神をもって、自主的に解決するよう努めなければならない。
(設計者等の責務)
第5条 設計者等は、前条に規定する建築主の責務を認識し、紛争の速やかな解決のため協力するよう努めなければならない。
(標識の設置等)
第6条 建築主は、中高層建築物を建築しようとするときは、関係住民等に建築に係る計画の周知を図るため、規則で定めるところにより、当該建築敷地の道路に接する部分その他見やすい場所に標識を設置しなければならない。
2 建築主は、前項の規定により標識を設置したときは、規則で定めるところにより、速やかにその旨を市長に届け出なければならない。
3 小平市開発事業における手続及び基準等に関する条例(平成28年条例第17号)第17条第1項に規定する標識の設置を行った建築主は、第1項の規定による標識の設置を行った建築主とみなす。
(説明会の開催等)
第7条 建築主は、中高層建築物を建築しようとするときは、規則で定めるところにより、建築に係る計画の内容について、説明会等の方法により、近隣関係住民に説明しなければならない。
2 建築主は、前項に規定するほか、関係住民等からの申出があったときは、建築に係る計画の内容について、説明会等の方法により、説明しなければならない。
3 建築主は、前2項の規定による説明を行ったときは、規則で定めるところにより、速やかにその内容を市長に報告しなければならない。
4 近隣関係住民に小平市開発事業における手続及び基準等に関する条例第18条第1項の規定による説明を行った建築主は、第1項の規定による説明を行った建築主とみなす。
(あっせん)
第8条 市長は、当事者の双方から紛争の調整の申出があったときは、あっせんを行う。
2 市長は、前項の規定にかかわらず、当事者の一方から調整の申出があった場合において、相当な理由があると認めるときは、あっせんを行うことができる。
3 市長は、当事者間をあっせんし、双方の主張の要点を確かめ、紛争が解決されるよう努めなければならない。
(あっせんの打切り)
第9条 市長は、当該紛争について、あっせんによっては紛争の解決の見込みがないと認めるときは、あっせんを打ち切ることができる。
(調停)
第10条 市長は、前条の規定によりあっせんを打ち切った場合において、必要があると認めるときは、当事者に対し、調停に移行するよう勧告することができる。
2 市長は、前項の規定による勧告をした場合において、当事者の双方がその勧告を受諾したときは、調停を行う。
4 市長は、調停を行うに当たって必要があると認めるときは、調停案を作成し、当事者に対し、期間を定めてその受諾を勧告することができる。
5 市長は、調停を行うに当たっては、小平市建築紛争調停委員会(以下「調停委員会」という。)の意見を聴かなければならない。
(調停の打切り)
第11条 市長は、当事者間に合意が成立する見込みがないと認めるときは、調停を打ち切ることができる。
2 前条第4項の規定による勧告が行われた場合において、定められた期間内に当事者の双方から受諾する旨の申出がないときは、当該調停は打ち切られたものとみなす。
(調停委員会)
第12条 市長の附属機関として、調停委員会を置く。
2 調停委員会は、第10条第5項の規定による市長の意見の求めに応じ、必要な調査審議を行い意見を述べるとともに、市長の諮問に応じて、紛争の予防と調整に関する重要事項について調査審議する。
3 調停委員会は、市長が委嘱する委員3人をもって組織する。
4 委員の任期は、2年とし、再任を妨げない。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
5 前各項に定めるもののほか、委員会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。
(出頭)
第13条 市長は、あっせん又は調停のため必要があると認めるときは、当事者の出頭を求め、その意見を聴くことができる。
(関係図書の提出)
第14条 市長は、あっせん又は調停のため必要があると認めるときは、当事者に対し、関係図書の提出を求めることができる。
(工事着手の延期等の要請)
第15条 市長は、あっせん又は調停のため必要があると認めるときは、建築主に対して、期間を定めて工事の着手の延期又は工事の停止を要請することができる。
(委任)
第17条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附則(令和2年10月2日・令和2年条例第18号)
(施行期日)
1 この条例は、令和3年4月1日から施行する。
(小平市特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例の一部改正)
2 小平市特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例(昭和31年条例第9号)の一部を次のように改正する。
〔次のよう〕略
(経過措置)
3 この条例の施行の際、現にされている東京都中高層建築物の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例(昭和53年東京都条例第64号)の規定に基づく手続その他の行為は、この条例中にこれに相当する規定がある場合には、この条例の相当規定によってされたものとみなす。
4 建築主がこの条例の施行の日前に東京都中高層建築物の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例第6条第1項に基づき行った説明会等は、第7条第1項の説明会等の方法により行われたものとみなす。
5 建築主がこの条例の施行の日前に東京都中高層建築物の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例施行規則(昭和53年東京都規則第159号)第5条第1項に規定する手続のいずれかをした場合にあっては、第7条第1項の規定は適用しない。