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市報こだいら:2025年1月1日号 8面(抜粋記事)

更新日: 2025年(令和7年)1月1日  作成部署:企画政策部 秘書広報課

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市報こだいら8面の記事を抜粋して掲載します。

こだいらちょっとむかし

かつて小平では、農業を営む家が多く、季節ごとに毎年行う行事がありました。
今回は、秋から冬にかけて伝わる話をご紹介します。

おかま様

10月の終わりの麦まきのころに、冷たい北風が吹いてくるの。
それを、このあたりでは、「おかま風が吹いてきた」って言っていたのよ。
昔は、まきや炭を使って、かまどで米を炊いたり、野菜を煮たりしたのよ。
かまどは粘土やレンガで囲いを作って、下でまきや炭を使って火をたいて、その上に鍋や釜を乗せて使ったの。
まきや炭は、火を起こすのも大変だし、消すのもすぐにはできなくて、今使っているガスや電気に比べて、大変なのよ。
それで、火を安全に扱えるように、火事を出さないようにって、台所に火の神様をまつったの。
その神様のことを、このあたりでは、おかま様っていうんだよ。
おかま様は、子だくさんで、36人のこどもがいるんだって。
毎年、11月(旧暦の10月)になると、日本中の神様が、出雲(いずも)に集まるんだけど、おかま様も、こどもを連れて行くんだって。
36人も連れて行くから、北から吹いてくる風に乗っていくそうだよ。
だから、10月の末ごろに強い北風が吹くと、「ああ、おかま様が出雲に出かけられるんだなあ」って、思ったのよ。
10月の最後の日には、おかま様が出雲に旅立つので、お土産に、お団子を36個作って、おかま様をまつった神棚に上げたの。36人のこどもの分は、小さな小さな団子なのよ。
家によっては、親の分といって、大きめの団子も2個作って、38個あげるところもあったけどね。
おかま風が吹くと、急に寒くなってくるから、どこの家でも、いろいろと冬の用意を始めたんだよ。

亥(い)の子のぼたもち

昔から、この辺りには亥の子様という、大きなイノシシがいたんだって。
亥の子様には、やんちゃで暴れん坊な9匹のこどもがいたの。
畑にやってきては、村の人たちが一生懸命耕して種をまいた畑の中を駆け回って踏み荒らしたり、やっと大きくなったさつまいもや大根をかじったりしたんだって。
困り果てた村の人たちはどうしたらいいのか考えて、甘くて大きなぼたもちを、9匹のこどもたちのために9つ作って、「どうぞ、このぼたもちを食べて、畑を荒らさないでください」って亥の子様にお願いしたんだよ。
すると、イノシシのこどもは、ぼたもちを食べて満足して、畑を荒らすことがなくなり、畑の作物が良くできるようになったそうだよ。
それから、毎年11月9日の亥の子の日になると、イノシシのこども用に、ぼたもちを9つ作るようになったの。
亥の子様にあげるついでに、どこの家でも、家族の分のぼたもちをたくさん作って、みんなで食べたの。
そして、ぼたもちを重箱に詰めて畑に持っていき、畑の周りをぐるっと一周してくるんだよ。
畑に持っていくと、畑の大根が、ぼたもちを見たくて、ぐんと首を伸ばして、大きくなるって言われていたの。
家によっては、畑に持って行かずに、お勝手(台所)の亥の子様の神棚に上げるだけのところもあったね。
ぼたもちはごちそうだから、「おいしい、おいしい」って食べている音を聞いて、大根が、「食べたい、食べたい」って、首を伸ばして、大きくなるんだって。
やり方はいろいろだけど、亥の子の日には大根がぐんと大きくなるって言い伝えられてきたんだよ。
だから、亥の子の日には、どこの家でも、大きなぼたもちを作ってたんだって。

コトヨウカとヨウカゾウ

12月8日のことを、この辺りでは、コトヨウカと呼んで、この日からお正月を迎える準備をはじめたのよ。
昔の家は広くて、出入り口が玄関だけでなく、庭からも直接部屋に入れる縁側があって、そこでよく草履やげたなんかの履物を出しっぱなしにすることがあったの。
それで、コトヨウカの夜中には、ヨウカゾウという妖怪が来て、外に出しっぱなしにしてある履物に、印を付けていくんだって。
その印を付けられた履物の持ち主は病気になってしまうって言われていたんだよ。
だから、コトヨウカの日は、印を付けられないように、夜中に草履やげたなんかの履物を外に出しておいてはいけないのよ。
ヨウカゾウはひとつ目小僧だと言われていたのね。
目籠(めかご)という、目を粗く編んだ籠があるんだけど、ヨウカゾウは籠の目がたくさんある、その目籠が怖いそうだよ。
それで、ヨウカゾウが来ないようにって、12月8日は、目籠を竹ざおの先に引っ掛けて、立てておくの。
この辺りでは、いろいろな所でやっていたんだよね。

タマおばあさんのお話はいかがでしたか。
では、またお会いしましょう。

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