小平市役所
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作品名:浮彫天部像(うきぼりてんぶぞう)
素材:木
制作年:1929年(昭和4)頃
作品解説:
《浮彫天部像》は平櫛田中の作品にはめずらしい、レリーフ状の彫刻作品です。このレリーフ状の彫刻4面が1つの作品として制作されているのが特徴です。
それぞれの彫刻面には、雲に乗り各々に楽器を奏でる飛天(ひてん・仏の世界を守る天人)が配置されいて、見ている私たちにもその音色が聞こえてきそうな場面となっています。
《浮彫天部像》の完成が真近となった、1929年(昭和4)1月に刊行された雑誌『アサヒグラフ』にこの作品が掲載されています。その記事によると、《浮彫天部像》はおよそ10年前から北海道の信仰家の依頼で制作されているもので、あわせて「聖観音像」「愛染明王像」「不動明王像」、各脇侍、四天王像といった仏像が平櫛田中により制作されている、と書かれています。また、完成後の《浮彫天部像》は、須弥檀(しゅみだん・仏像を安置する壇のこと)の前に大扉として配される予定であるとも書かれています。つまり、4枚一組の《浮彫天部像》は、建物の扉として作られた作品だったのです。
その後、この作品は制作依頼者の手を離れ、平櫛田中と交流のあった美術商「不言堂(ふげんどう)」の店主・坂本五郎氏(1923年~2016年)の所蔵となっていましたが、坂本氏の没後、2017年(平成29)にご遺族から当館に寄贈されました。